型稽古の中の「時間」とギター演奏の中の「時間」

私は型稽古の際に「急ぐ必要はありませんよ」と指導することが多いです。
むしろゆっくりやることを推奨しています。
これは私がギタリストとして今まで何十年も練習してきた中から「これは武道の稽古も同じだな」と感じているからです。
で、ただゆっくりやるのではありません。
ギターに例えてみるとこういうことです。
・まず弦のチューニングはできてるか。
・テンポを守っているか。
・譜割り通りに弾いているか。
以上が前提になります。
合気道なら
・姿勢は保てているか
・相手とテンポを合わせているか
・手順を守れているか
といったところになると思います。
それをしっかり意識してゆっくりやることで技の精度も威力も上がると思います。
超スピードの速弾きギタリストほどそういう練習を重ねてきています。
まずメトロノームに合わせてゆっくりしたテンポで練習を始めて、徐々にテンポをあげていく。
最初から速いテンポでやるよりその方が絶対に上達が早いです。
これは単に正確さの話だけではありません。
1小節、あるいは1音あたりの情報処理量が圧倒的に増えます。
時間にしたら1〜2秒、あるいは0.3〜0.5秒のあいだにステージで起きていることを把握し、バンドメンバーの演奏の微かな変化にきづき、聴衆の反応を確認して、次に出す音を決める。さらに言うと「さっき弾いた音」「今弾いてる音」「これから弾こうと思ってる音」を同時に感じながら演奏しています。三つの時間を同時に生きてるようなものです。
優れたミュージシャンはそういうことを当たり前にやっています。
ですから合気道も同じにやればいいと思ってます。
「自分の1秒」というものを何倍にも引き延ばして稽古すれば、そうしていない人の1秒とは全く違うものになります。
それを実現するために先ほどの三つの条件が必要になってくると思います。
・姿勢は保てているか
・相手とテンポを合わせているか
・手順を守れているか
といったところです。慣れたら他にも様々な事に意識がいくでしょう。
私自身は、事件の現場に居合わせて咄嗟に人助けをした時や、見知らぬ人に突然襲われて制圧した時などにものすごく時間がゆっくり感じた、と言う経験があります。
私は全く慌てることがありませんでしたが、相手はいったい何をされたか分からなかったと思います。
普段ゆっくり稽古していたからこそだと思います。
こんな物騒な例に限りません。
「一瞬の情報処理量」が増えると、それはやがて実生活にも活きてくると思っています。
人間は1日のうちに3万5000回の決断をしているそうです。
その決断の結果で今があり、未来が決まっていくわけです。
その決断の際の情報処理が緻密になれば、より正しい決断が積み重ねられていくのではないでしょうか。
と言う事で私は今後も合気道の稽古で自分の「時間」を濃密なものにしていきたいです。
読んでいただきありがとうございました。

