合気道の稽古は相対で行うことがほとんどで、技を行う「仕手」と技を受ける「受け」に分かれてそれぞれの役割を果たします。
仕手は受けの体を借りて稽古するので感謝と配慮が必要です。
受けは仕手の力の流れに乗って動き、仕手の技が正しい形になるように協力します。
これはやらせでも馴れ合いでもなく、お互いが対等にそれぞれの役割を全うすることで合気道の稽古が成り立っています。
たとえば文字を学ぶ時に最初はお手本をなぞって書きます。
それと同じで、正しい動きをお互いに協力して表現することで脳と体にインストールしているわけです。
そうしているうちに、いつしか誰が相手でも正しい動きで技を行えるようになります。
上級者は初級者の受けの動きを誘導できるようになります。
逆に上級者が初級者の受けをとる時には仕手が正しい動きができるように自然に導いていけます。
仕手については初級者の方々も一生懸命正しい動きをしようとしている場合がほとんどですが、受けのとり方にまでは気が回らないのが実際ではないでしょうか。
これは仕方のないことなので、まずは先輩が率先して正しい受けをとってあげることが必要です。
初級者の技が効いたとか効いてないとかそういうことは置いておいて正しい形で技を行えるように協力することが大事です。
そして、能動的に受けをとることは自分自身の上達にも非常に効果が高いです。
なぜなら正しい受けを取るにはその技の構成や仕組みを理解していないといけないからです。
技を表と裏の両方から見ることで理解が深まり、自分の中の深いところに落とし込めます。
私の経験上、相手によって技がうまくいかない、型通りにならない、などの悩みがある場合は、一度その技をしっかりと正しい形で受けてみると解決する場合が多いです。
受けはやられ役ではありません。
仕手と対等どころか、場合によってはより重要です。
古来、剣術などでは上位の者が受けをつとめるのが常です。
それほど受けの技量と理解度は大事です。
正しい受けを意識して行い、正しい技を身につけていきましょう。
受けが綺麗にとれるようになる頃には、技も上達しています。
頑張ってみてください。
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